瑛九
1911(明治44)–1960(昭和35)
銅版画集5『風車』より9.《かべ》
1957(昭和32)年
エッチング/紙
18.0×12.0 cm
瑛九は、1951(昭和26)年頃から銅版画制作に没頭した後、リトグラフを始め、1958(昭和33)年頃から本格的に油彩画へと回帰した。本作は、版画から油彩画へと移行する直前の1957(昭和32)年に版が制作され、没後に池田満寿夫によって刷られた「銅版画集5『風車』」に収録された一枚である。
シュルレアリスムに接近した瑛九は、具象と抽象を織り交ぜた独自のイメージを紙上に生み出した。本作に描かれた動物や人間の横顔に見立てられるような穴や欠損だらけの壁は、本来は堅固な物質であるはずの壁であるにもかかわらず、生命を感じさせる温かみがあり、瑛九独自のイメージによって相反する印象を抱かせる作品である。(FR)
