浅見錦龍
1922(大正11)–2015(平成27)
《九十九里》
1960(昭和35)年
墨/紙
202.0×62.0 cm
江戸時代の漢詩人、簗川星巖の「九十九里」が題材。詩の内容は以下の通り。
海は上総から下総に弓形に連なり、千もの家々が網を夕陽の風に晒している。
九十ゆうに九里はある。一筋の道より松影の中潮騒が聞こえる。
5月の海風は秋のように爽やか。総北総南も雨がいまだ収まらない。
平らな砂地は一百里も続き、崖は天に登るかのように切り立っているのが房州だ。
雄大な風景の印象を、青墨の淡墨を用い、長鋒(穂の長さが直径の6倍以上ある筆)で書いた。墨色を生かすため、茶色い粗挽きの二番唐紙という古色の紙を使っている。またよい滲みをだすための工夫も凝らしており、連綿の流れと墨の濃淡のリズムが美しい作品。(AJ)
