小暮青風
1911(明治44)–1996(平成8)
《漂泊の思い》
1985(昭和60)年
墨/紙
176.5×720.8cm
松尾芭蕉の『奥の細道』の冒頭部分を書いたものである。
「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」(月日は永遠の旅人のようなものであり、過ぎては来る年もまた、旅人のようなものである)から始まる。
「行春や鳥啼き魚の目は泪」(去り行く春に、鳥は啼き、魚は涙を浮かべている)で終えている。
小暮青風は、全体に淡い墨色の濃淡を小気味よく織り交ぜながら、淀みなくたおやかに文字を連ねている。左右に揺れるような文字の運びは、旅情に身を任せる芭蕉の心の揺らぎをイメージしたのだろうか。
小暮は、群馬県に生まれ、鈴木翠軒、大石隆子に師事。かな書を得意とし、日展、読売書法展などに出品、日展特選・苞竹賞などを受賞。万葉歌、芭蕉、良寛などの詩歌をモチーフとして好んだ。千葉県市川市に居住した。(AJ)

