香取正彦
1899(明治32)–1988(昭和63)
《苺唐草文花瓶》
1925(大正14)年
鋳金
27.7×26.2×26.2cm
香取正彦は近代金工の開拓者・香取秀真を父に持ち、自身も古典に学びつつ時代感覚を取り入れた作品を多く残した。
本作品は東京美術学校鋳造科卒業の同年1925年、パリ現代産業装飾芸術国際博覧会(いわゆるアール・デコ博)に出品し銅牌を受賞した、正彦の初期を代表する作品。首にはイチゴの花びらをあしらい、肩には幅広に流麗で華麗な苺唐草文を施す。大正期は欧米の新傾向が流入し、新しい表現が模索された時代である。本作品の丸みある胴体は典雅な雰囲気を持ち、伝統的な唐草文様の花器を踏まえているが、イチゴのモチーフはアール・ヌーヴォーの影響が指摘でき、時代の精神をよく感じさせる。(MN)
