津田信夫
1875(明治8)–1946(昭和21)
《海》
1927(昭和2)年
鋳金、漆
21.0×24.6×31.0 cm
能面を保管する箱に漆を塗り、鋳金の装飾を施した作品である。幾何学的な形態の波をとりまく漆の、淡くぼかした表現が絶妙である。岩上のアシカだけが写実的に表現されており、側面の波文様は三角形で構成された島と相まって、波のようにも砂漠の砂のようにも見える。
1907(明治40)年に、日本画、洋画、彫刻の三科で始まった文展は、後に帝展と組織変更され、工芸部門設置は1927(昭和2)年の第8回展からである。海から岩に登り、風を受けて空を見上げるアシカは、工芸部門設置を実現した第一の貢献者の、津田信夫の心情と重なる。(NR)
