安井曾太郎
1888(明治21)–1955(昭和30)
《熱海附近》
1929(昭和4)年
油彩/キャンバス
53.0×65.2cm
フランスから帰国して15年後の1929(昭和4)年、安井曾太郎は満を持して自身にふさわしい等身大の様式をつくり出した。考え抜かれた構図の中に、明瞭な輪郭線で一つひとつの題材を落とし込み、平明な色彩でまとめ上げる表現を、人物画と風景画で同時に示した。
この年3月、安井は熱海に数週間滞在する。ホテル周辺で得たと思われる、相模湾に臨む斜面の木立の合間から海面を見下ろす構図に安井はこだわった。ほぼ同構図で、時間帯や光線の異なる油彩画を少なくとも3点描いている。この絵はそのうちの一つで、和服の女性像《座像》(アーティゾン美術館蔵)とともに、9月、第16回二科展で発表された自信作である。(KT)
